エル・ランティはイルプロラシオンの 6000万人が必要だった。よく理解できないのだが 彼にとって つまり ヴィーダ星において 緑というのは一つの権力の象徴のようなものらしいのである。 だからエル・ランティにとって自由と権力の象徴であるイルプロラシオンの人たち、 緑がどうしても必要だったのである。 エル・ランティは地球に来てからでも同じなのだが 自分にとって必要ということは彼らにも必要と思い込んでいる。 イルプロラシオンの住人たちはほぼ神 つまり エルランティー たち、これの言いなりだった。 希望の星への移住を告げられると 今度は宇宙船製造に取り掛かっている。科学技術はあるにはあったのだが それらは全て エル・ランティたちから教えられての技術だった。そういう風に育てられたと言うか造られたと言うか。 とにかく エル・ランティ たちを神と崇めるように 崇拝するように造られ 育てられた者たちだったから、神に逆らうということが思考回路に存在しないのだ。 全ては神のお告げの通りに従っていればその恩寵で何事もなく生きていけると信じていた。 彼らの宇宙船は私たちからはとても想像もつかないような代物だったま ず 宇宙船の周囲が硬くないのだ ゼリーとまで行かないが何やらぽよぽよしていて 柔らかいのである そしてその大きさだが最大で 直径が30km という 途方もない大きさのものだったそうした宇宙船の第3弾に6000万人が乗ったのである いかに人類の持つ 科学という概念の領域が狭いことかということであろうか 彼らの宇宙船は非常にフレキシブルにできていて 例えば地球の大気圏に突入する時などは 外殻を高温に耐える性質のものに自ら変化させている。 そういう ある意味 生きているとも思える有機的な宇宙船を作っていた。 ただこれは 物質波動の領域での話ではない。物質に近い 波動 領域ではあるが 我々が 日常 使っている物質とは また性質が全然違っている。