この頃 サタンを驚異に感じていた 父親である この国の王や サタンの兄弟たちは、 このエンタフーに目をつける。 サタンが 遠征でしばらくいない時を見計らってエンタフーをとらえて 自分たちに内通しろと迫る。 しかし全く言うことを聞かないエンタフーに対して 次第に拷問を エスカレートするようになっていった。 大概の人間は 拷問にかければ落ちたので 初めのうちは 何とかなるだろうと軽く考えていたようだったが、どんなにひどい拷問にかけてもエンタ フーはサタンを裏切ろうとはしなかったのである。 兄弟たちは 拷問なれと言うか そうした行為を一種の 快楽と捉えているところがあって、美女や美しい青年が血まみれになって悲鳴を上げて悶え苦しむ姿を 狂気のような快感と共に我を忘れていくところがあった。 それはこのままこの男が裏切らず サタンに知れてしまったらどうしようという強迫観念がさらにまた一層 快感を刺激して、エスカレートするうちに気がつけば エンタフーは死んでいた。 サタンが帰国した時いつもは 出迎えるはずの エンタフーが出ていない。 王たちはごまかしていたが、しかし サタンは一瞬でその理由を知る。 それほど正確ではなかったにせよ、ある程度のテレパシー能力を持っていたサタンはその事情を悟るや 沈黙をする。 全く 王や 兄弟たちに悟られることなく何事もなかったかのように過ごすのである。 当時 当たり前にあったことなのだが頭角を現してきた サタンに対して 以前 手を結ばないか と持ちかけていた国があった。 サタンはその時は何も反応していなかったが、いつかはそういうことを利用しても良いくらいには思っていた。 そしてエンタフーを殺された怒りはその裏切りを実行させてしまうのである。 もちろんサタンは敵国と手を結びはするが 父親や兄弟をやっつけた後は自分でその敵国も滅ぼしてしまうくらいの自信はあったようだった。 サタンの手引き で夜陰に乗じて 敵国が攻めてきている。 城は周囲から火の手が上がり、煙が 場内にも 立ち込め始めている。兄弟たちは王の部屋で寝込みを教われ バタバタしながら、戦闘態勢を整えようとしているところを サタンに県で切り殺されている。 その身内の死体が転がっている部屋でサタンはしばらく 呆然としている。 親友エンタフーの復讐とは言っても身内を殺したわけだから さすがにサタンも人の子、両親の呵責に悩んでいたのかと思ってその時の心境をよく見ると 単純に一段落して たまたま 気が抜けていたということだった。 超人ではあったが まさに 魔がさしたという瞬間だったのだろうか。そこを 重臣の何人かに見つかりあっという間に殺されている。 少し しまった ちょっといかんね と思っている。 サタン 最後の思いだ。 人間なんて 根絶やしになっちまえばいいんだ。