彼は初老の頃 55歳くらいで死んでいる。 その前に サタンは足を悪くして 杖をつく生活を余儀なくされていた。 そんなことからあまり外には出なくなり やがて 体を壊してなくなっている。 実は左足はある女性にやられている。男性にも女性にももてたサタンはある女性に結婚を迫られている。 しかし サタンは結婚する気は全くなくて いつものように 適当に受け流してはいたのだが この女性がかなり気が強く 自分のものにならないのなら他には渡したくないという思いから サタンのズボンに今のサソリのような 毒虫を忍ばせている。 幸い一命は取り留めたのだが 左足は切断せざるを得ない状態だった。女性はさっさと どこかに逃げてしまって サタンもそれを追おうとは思っていなかったようである。 それからしばらくして サタンはこの人生を終えている。 なくなる頃は髭を生やして若い頃のような ギラギラした目の輝きはなくなっていたが それでも年をとり、なお一層 怪しさを深めた目には確かに男女を問わず引きつけられる何かがあったことも事実であった。 この 生の サタンの最後の思いだ。 こんなものかな サタン 2回目の転生 今から531万年前 北アフリカの現在で言うと エジプトからシリア 辺りで生まれている。 統治者がいるような街ではなく大きな川のほとりにある田舎の漁師の家に男性でヨワヒムという名前で生まれている。 相変わらず美しく 体もすっきりとして格好が良くて非常に目立つ姿になっている。 そのまま 青年まで育って 今回は一旗あげようと迷いなく 都に出ている。 初めは 傭兵としていっぺん 卒から雇われているが 世渡りが上手い というか 頭が良くて、早い段階で兵隊の上層部にまで上り詰め やがてその姿形が目について 白のお姫様に見初められている。 このお姫様には旦那様がいたのだが 近隣の王子様 で いわば 入り婿さんであってあまり力がなく 飾り物のようであり 逆にお姫様の方は どんとしていて 精力家で自由に恋愛はしていた。 このお姫様との付き合いが始まるとサタンはどんどん出世をしていって最終的には王様の参謀にまでなっている。 サタンは頭が良くてお姫様には 今で言うところのホストのような応接をしていた。 もちろん 野心はあったのだが 狡猾 だからそのような態度はおくびにも出さないで ひたすら お姫様の満足のいくような仕え方をしていたが 今生もやはり女性も男性も OK の両刀使い だったらしくて 兵隊の中に美形の青年があれば それはそれで ねんごろになっていた。 だからお姫様も サタンもお互い適当に人生を楽しんでいたというか それなりに 享受していたのだが、面白くないのは入り婿の王子様である。