どこの地域の民族も同じように 好戦的だったので ここは 特にひどかったようだ。 戦いが好きということもあるが血を見るのが好き 拷問が楽しい そうした人間の動物性というか……動物は あまり そういうことはしないのだが、 とにかく 残虐性を好む傾向にあって、またそうしたことが当たり前の社会でもあった。 生存本能だけで生きている文化というか 強いものが正義の時代であってたががない 何をしても良いという風潮がまかり通っていた時代でもあった。 サタンは5、6歳の頃 隣国の領主のところに差し出されている。 元々 隣国の領主は幼児性愛があって サタンの生まれながらの美形という噂を聞いてはいたのだが しかし この話を持ちかけたのは 実はサタンの父親の方で 隣国の領主が喋らしている後宮のお姫様が1人がひどく気に入ってしまって 何とかゆずってもらえないかと相談しているうちに それじゃあお前の子供のサタンという可愛い子供がいるだろう、あの子を代わりに よこすがいい と言われて交換にすぐ 応じている。 実は期限は限られていたが何度もこうした父親の欲望の肩代わりをさせられていた。 これはまた 隣国や 友好関係にあると見える国とのお互いの人質という側面もあったのだが それにしてもひどい話だ。 しかし サタンはそういう状況でも自己憐憫に耽って メソメソしたり 自らの境遇を呪ったりはしていない。 彼 の特徴だが どんな状況にあってもむしろそう した事情の中で自らの仕上がっていくだけの力と知恵を持ち合わせていた。 この時の経験から サタンは自分の体を武器にする術を身につけている。 この回の生でもサタンは周りに見る 美景で生まれてきている。 生まれるたびに その美しさには磨きがかかって特にその目は怪しい光をたたえ じっと見られると ほとんどの人間は 催眠状態に入ってしまうようだった。 またサタン 自身も その効果というか 能力をよく知っていて単に自らの欲望を満たすためだけに使うのではなく自分の勢力を強めるため 拡大するために人材を集め 適材適所で効果的に使っている。 そのため 急速に頭角を現していく サタンの姿は 市井の人々に驚きとそのカリスマを植え付けていった。 だから サタンが成長するにつれてその実力は父親や他の兄弟を 次第に凌駕するようになり 彼らは次第にサタンを脅威に感じるようになっていくのである。