脱出行

440万年前にムー大陸が海に沈下している

現在の化学文明とは違っていたが そういうムー文明の主流に背を向けて暮らす 自然派志向の人たちがいた

文明を享受しない その生き様は町の人たちの超能力とは違ったピュアな感覚を彼らにもたらしていた

彼らにとっては神の告げという啓示で50年以上前から小さな船で徐々に大陸から脱出していたのである 

文明を享受していない 原始的な生活に頼っていた彼らだったから 大海原に漕ぎ出す 船も 20人 そこそこが乗れるくらいのボートのような船であった 

南洋の人たちが使うような 両脇に腕を突き出してウキをつけた

かいで漕ぐ小舟で東西南北全方向に出て行ったのである 

海流に乗るまでは 手漕ぎで行くが

乗ってしまうと意外に早く どこかにたどり着く確率はかなり高かったようだった

一つ 非常に便利な道具を携帯していたのだ 

それは海水から水と塩を分離する一種の ろ過機のようなものだった

砂時計をもう少し広げて大きくした形で素材はセラミックで 磁気を帯びていた

漏斗の 上部の口にはムー大陸にしかない植物の茎がぎっしりと入っていて

それがフィルターになって海水をろ過して下の壺に水を落としていた

高さが70cm ほどあって1日に10 L は水を取ることができた 

また濾過する フィルターは海水で洗えば何度でも使えるので海を旅するには 必需品であった